コメントコメント

夜も開いている認可保育所があるということを初めて知った。
日本は、昼間だけでなく、夕方や夜や早朝にも様々な活動が行われている国だ。保育を必要としている子どもが、今夜もどこかにいるに違いない。親を援助するというよりも子どもを援助するのだという考え方で、夜の保育も行う認可保育所をもっと増やしていかなければならないな、と思った。
この映画に出てくる人たちは、保育士も農家も親も、みんな、仕事に対するプライドと人間としての弱さを併せ持っている。育児や保育は、完璧なひとりの人間が行うことではなくて、弱い人間同士が助け合って行うことなのだな、としみじみ感じた。

山崎ナオコーラ(作家)

夜働いてる人がいるんだから、夜間も保育をするのは当たり前!
必要があれば何でもやるというその生き方が、次第に片野清美という女性を大久保の肝っ玉かあさんとして育ててきた様が見事に浮かび出た作品。
100年後には、21世紀の証言として貴重な役割を果たすだろう。

汐見稔幸(教育学者・東京大学名誉教授・白梅学園大学学長)

「夜にも、子どもたちに愛情深い保育を!」
夜、働かなければならない親がいれば、そこには夜、保育が必要な子どもたちがいます。どの子もみんな周りの人たちに深く愛され、守られ、自分は大切な存在だと思えるように育って欲しい。昼でも夜でも、必要であれば愛情深い、豊かな保育を受けることは「子どもの権利」なのです。「夜間もやってる保育園」には、親の生活の苦しさ、就労や結婚形態の多様化、国際化……等々、現代日本がかかえる矛盾がギュッと凝縮されています。あらゆる世代の方に観ていただきたいと思います。

猪熊弘子(ジャーナリスト)

「働きたい」って言ってもいいんだ、それが夜間だとしても、他のどんな状況だったとしても。仕事と育児を秤にかけていつも罪悪感と隣り合わせだった過去の自分が、夜間もやってる保育園の存在に救われたような気持ちです。

おぐらなおみ
(イラストレーター・漫画家/「働きママン」シリーズ著)

110分間に、いくつもの家族のドラマがありました。家族の事情はいろいろだけれども、親が頑張っている時間、子どもが安心して自分らしくいられるように支えようと働く保育者たちの姿がありました。そして、そんな場で芽生えるぬくもりや安心感や信頼関係の中でこそ、豊かに育まれる子どもの心があることに気づかされました。

普光院亜紀(保育園を考える親の会 代表)

夜働く人の子どもはどうしてるんだろう?
普通の保育園は、昼間しか開いてない。
そんな時、夜間保育園だけが、仕事と生活を支えるインフラになる。
しかし、認可の夜間保育園は、認可保育園の0.3%に満たない。
足りるわけがない。だから人々は、無認可の夜間保育園に流れる。
けれど、無認可の夜間保育園の全てが、本作に登場するエイビイシイ保育園のように、良質な保育をしているわけではない。
むしろ、非常に劣悪な状況の夜間保育園を、私は実際に見てきた。
待機児童問題の中、置き忘れられた夜間保育問題。この社会問題を知るには、そして夜間保育園のかけがえのない意義を知るには、本作よりも良い教材はないだろう。

駒崎弘樹(認定NPO法人フローレンス代表理事)

陽は沈む。多くの人は眠りに就く。でも夜に仕事をしている人もたくさんいる。彼らにも家族はいる(当たり前だ)。生活がある。支えが必要だ。でも昼に仕事をしている多くの人は夜間保育など知らない。彼らの苦悩や喜びを知らない。僕も知らなかった。そして知った。まずは観てほしい。知ってほしい。すべてはそこからだ。

森達也(映画監督/作家)


<順不同・敬称略>

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